2018.05.29
企業担当者必読!健康経営の取り組み事例と効果・ポイントをご紹介
目次
はじめに
日本の生産年齢人口は年々減少しており、今後も減少が続き2030年には6180万人まで減少すると言われております。
そんな中、労働力の確保と生産性を向上するために「健康経営」に取り組む企業が増えています。
また、健康経営を推進する動きとして、2015年3月に経済産業省が「健康経営銘柄」として22社を選定しました。
2015年12月には、厚生労働省がストレスチェックを義務化するなど、政府も企業の健康経営を後押ししています。
この記事では、健康経営の定義や、実施することのメリット・デメリット、取り組み事例や実施する際のポイントなどをご紹介したいと思います。
健康経営とは
ここでは健康経営の定義や、注目されるようになった背景、企業の取り組み状況についてお話をしたいと思います。
健康経営の定義
まずはじめに、「健康経営」の定義から説明していきたいと思います。
健康経営とは、従業員の健康を促進することで、医療費などにかかるコストを下げ、効率的に成果をあげていくことを目指す企業の経営手法の一つです。
従業員が不健康になることは、労働力や生産性の低下に繋がる可能性があります。
労働力として人材を確保し、その人材の生産性をあげることは企業の競争力を高める上で非常に重要です。
健康経営が注目される背景
では、なぜ今になって健康経営に注目が集まるようになったのでしょうか?
その背景には、昨今の労働者不足があります。
冒頭でもお伝えしたように、日本の生産年齢人口は年々減少しており、2030年には6180万人まで減少すると言われております。
労働力の確保が難しくなった際には、今いる人に生産性をあげてもらうか、他の企業より人材を確保する力をつける必要があります。
そのために「健康経営」に取り組む企業が増えているのです。
社員に心身共に健康になってもらい、高いパフォーマンスを目指すと同時に、健康を支援する企業であるというイメージを対外的に発信することで、人材の確保にも繫げよう。ということです。
それだけでなく、少子高齢化により医療費は年々増えています。
それにより、企業の従業員が加入する健康保険組合のうち、約8割が赤字と言われています。
その結果、健康保険料が増額され、企業側の負担も増えることに繋がります。コストを減らすためにも従業員の健康に配慮することが重要になってきています。
健康経営の認知と企業の取組状況
2015年に経済産業省が行った、健康経営の啓発と中小企業の健康投資増進に向けた実態調査によると、
「健康経営」の内容を知っており、かつ実際に取り組んでいるという回答と「健康経営」の内容を知っているという回答の計は全体の1割程度であり、中小企業経営者における健康経営の認知度はまだ低い。さらに、「健康経営」という言葉を聞いたことがないとの回答がほぼ6割を占めることから、健康経営についての周知広報の必要性が示されている。
(引用元:「健康経営の啓発と中小企業の健康投資増進に向けた実態調査」
と、以前は認知が低かったことがわかります。
経済産業省と東京証券取引所が共同で行っている、上場企業の中から健康経営の優れた企業を1業種から1企業選定する健康経営銘柄という取り組みがあります。
2018年の健康経営銘柄のための調査には1239社もの企業が参加し、取り組み開始の2015年の493社と比較して約2.5倍程度の参加数となっており、健康経営に取り組む企業が増えてきていることがわかります。
健康経営のメリット
健康経営をすることのメリットがあるのはわかるけど、具体的にはどんなメリットがあるのかわからない・・・。という方も多いかと思います。
健康経営に取り組むことのメリットは大きくわけると下記の4つになります。
(1)医療費の削減
先ほどもお伝えしたように、従業員が加盟している健康組合の約8割が赤字と言われています。その影響を受け、健康保険料が増額され、企業側のコストが増えることがあります。
従業員だけでなく、従業員の家族の健康も促進することで医療費という経費を削減することができます。
(2)生産性の向上
昨今は働き方改革で生産性の向上が求められています。果たして、体調が悪い状態で無理に働いたとして、体調がいい時ほどのパフォーマンスを発揮できるでしょうか?
心身共に健康になってもらうことで、限られた時間の中で成果を出してもらうことができるようになります。
(3)企業イメージの向上
人材を確保する上で、「企業が従業員の健康に配慮しているかどうか」は非常に重要なポイントになってきます。
実際に、経済産業省が行った調査では就活生に就職先に望む勤務条件を聞いたところ、「福利厚生の充実度」・「従業員の健康や働き方への配慮」を求める回答が4割を超える結果となっていました。
(引用元 :http://www.meti.go.jp/press/2017/09/20170907002/20170907002-1.pdf)
(4)社員定着化や離職率の改善
また、健康経営を促進することで社員にとって働きやすい環境が整えば、自ずと社員の定着化や離職率の改善に繋がります。
健康経営の取り組み事例
ここでは、健康経営の具体的な取り組み事例をいくつかご紹介したいと思います。
健康経営と一言で言っても、
1)社員のフィジカル(身体)面での健康支援
2)社員のメンタル(精神)面での健康支援
3)社員が健康に働ける職場環境の構築
と大きく三種類の取り組みに分けることができます。
先端テクノロジーを活用した健康管理
健康経営を促進するために、従業員に対しての健康チェックや、社内スポーツ大会やウォーキング促進活動などを行うケースがあります。
今までは対処療法的なアプローチが多かったのですが、予防に焦点を当てたアプローチが増えてきています。
伊藤忠ではウェアラブルデバイスやスマートフォンを利用して健康状態のデータを収集し、そのデータを解析して、予防に繋げるような取り組みをしています。
こちらの例は少し極端ですが、医療機関やフィットネスクラブと提携をして予防に取り組む動きも増えています。
マインドフルネス
不健康な社員を減らし、肉体の健康を推進する。という取り組み以外にもメンタル(精神)面にアプローチをして、健康経営を進める取り組みとしてマインドフルネスがあります。
マインドフルネスとは、「今この瞬間の自分自身の身体や気持ちの状態に気づける、心のあり方」のことで、マインドフルネスを身につける手法として瞑想があります。
※詳細はこちらの記事を参照ください!
マインドフルネスはGoogleやYahoo!、Facebookなど世界的な優良企業で、ストレス軽減や生産性向上などを目的に実践されており、健康経営を促進している企業も研修として取り入れているケースが増えてきております。
健康経営というとフィジカル面の健康ばかりに目が行きがちですが、メンタルの健康を支援することで生産性の向上や、離職率の改善などに繋げることができます。
ワークスタイルの多様化
上記の二つのように社員に働きかける取り組みだけでなく、環境を用意するという取り組みもあります。
フレックスタイム制度や在宅勤務制度を取り入れることで、多様なワークスタイルを推進する企業が増えています。
フレックスタイムを導入することで子供の送り迎えが無理なくできるようになったり、在宅勤務制度を使うことで通勤ラッシュ時のストレスがなくなり健康になるケースもあります。
健康経営に取り組む際のポイント
健康経営に取り組む際には、上記の事例を実践するだけでは成果を出すことは難しいです。下記のポイントに注意をして、取り組むようにしましょう。
経営陣がリードする
企業が健康経営に取り組む際に、社員に任せるのではなく経営陣が中心になり進めていく必要があります。
健康経営とは既存のやり方に反するも多く、トップから明確なメッセージを出さないと定着しないことが往々にして起こります。
健康経営に本腰を入れている企業では、CHO(Chief Health Officer)という健康経営の責任者を設置し、各種施策を実施しています。
※最高経営責任者をCEO(Chief Executive Officer)、最高財務責任者をCFO(Chief Financial Officer)と呼ぶように、経営において重要な役職のことをCXOと呼びます。
社員のやる気を最大化する環境作り
経営側から健康経営を無理に押し付けても社員がついてくるとは限りません。
結果を最大化するためには、社員がやる気を高める仕組みが必要になります。
ローソンでは、健康状態に応じてポイントを付与し、ゲーミフィケーションの仕組みでやる気を高めています。
社員同士で競わせたり、本人にとってメリットを提示することでやる気を高めることができます。
長期的な視点を持ち継続して取り組む
健康経営は今日から始めたといって、明日に結果が出るものではありません。
すぐに結果が出ないとしても、諦めずに続けていくことが大切です。
長期的に行うことで初めて成果が最大化します。
やると決めたら、どっしりと構えて取り組むようにしましょう。
おわりに
昨今、働き方改革と合わせて健康経営という言葉を聞く機会が増えてきました。
今までは社員が病気にならない。ということが求められていましたが、これからは病気を予防し、健康な状態を維持して、生産性を上げていくことが求められると思います。
そのためには、フィジカル面だけでなく、メンタル面や環境面からも社員のためにできることを考えて行きましょう!
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