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2018.02.13

【上善如水 ~第2稿 VUCAワールドとマインドフルネスなVUCA~】


変動が激しく
不確実で
複雑怪奇にあふれ
曖昧模糊とした

そんな世界観をVUCAワールドという。

Volatility(変動性)
Uncertainty(不確実性)
Complexity(複雑性)
Ambiguity(曖昧性)

の4Wordsの頭文字をとったものだ。

もともとは1990年代に米国の軍事領域で使われていた言葉で、冷戦終結後の複雑化した国際情勢を表している。

2010年代にはいり経営やマネジメントの文脈でも使われるようになったのだが、VUCAに象徴される先がみえない、とっちらかったビジネス環境において、それまでとは違ったリーダーのあり方、マネジメントスタイルが求められているというのだ。

特に、シンギュラリティという言葉に代表されるように、劇的な技術進化によって世の中が加速度的に変化していく昨今、僕たちはどんなスタンスで目の前にある現実に対峙していけば良いのだろうか?
世界がより複雑さと混乱をました現在、多くのプレッシャーにさらされている僕らに必要なコトは何なのか?

そんな時出会ったのが、マインドフルネスなVUCA。

 


マインドフルネスなVUCAとは

 


スタンフォード大学で教鞭にたつスティーヴン・マーフィー重松氏が、VUCAワールドのリーダーになるための、グローバルスキルの向上をベースとしたリーダーシッププログラムの中で取り入れている概念だ。

Vulnerability(ヴアルネラビリティ、弱さ)
Understanding(理解)
Connectedness(つながり、絆)
Adaptability(順応性)

先程と単語は違うが、同じく4Wordsの頭文字をとったものだ。

僕は、この4つのキーワードの内の最初Vulnerability(ヴアルネラビリティ、弱さ)に注目している。

重松氏は、このVulnerability(ヴアルネラビリティ、弱さ)の言葉をもとにこう語っている。

「リーダーは、変動する世界では、管理・支配権の一部と、科学技術で最終的な答えや解決がみつけられるとする実証主義的信念を捨てる必要がある。安心を与えてくれる自らの世界観を捨てて自分の弱さを受け入れられれば、異なる文化の世界観にオープンになることができる」


「自らの世界観を捨てて自分の“弱さ”を受け入れる」象徴としてのVulnerability。

このVulnerabilityという言葉を調べてみると、「弱さ」という意味以外に「さらけ出す」とか「無防備な状態」といった意味合いが含まれている。

人は、新しいモノゴトや変化に直面した時、まずは構え、防御する習性をもっている。 なぜなら、人は、基本的に変化が嫌いなのだ。そのため、無意識に現状を維持したいというメカニズムが働きだす。
一方、変化の激しいこの時代にあって必要なことは、自分の今までの価値観に閉じこもり防御するスタンスを捨てて、まずはその変化の中に飛びん混んでみる勇気ではないかと思う。

そのために必要な要素がVulnerabilityなのだ。
自分の弱さを認め、今まで創り上げてきた価値観を一旦脇に置く勇気。
これこそが、これからの僕たちに求められる資質ではないだろうか。

傷つくことを恐れて自分の殻に閉じこもるのではなく、勇気を持って変化の中に飛び込んで見る。
人は一度自分の弱さを認めざるを得ない出来事に遭遇し、それまでの価値観を揺さぶるような状況に陥った時、初めて、他者や他文化への世界へ、さらに深く踏み込むことができるようになるのではないか。 そのことによって、一見矛盾して危険に思えるような他者の世界観であっても、理解できたり、受け入れたりすることができると思う。

さらに、自分の弱さを認める大前提として、自己認識力を高めることの重要性と高める道具としての「マインドフルネス」の有効性を強調したい。

逆に言えば、「マインドフルネス」が、最近ビジネス界でもフューチャーされている背景には、VUCAワールドを生き抜く智慧がそこに隠されているからなのかもしれない。

株式会社インナーコーリング 取締役 武石直人

参考:「スタンフォード大学 マインドフルネス教室」 スティーヴン・マーフィー重松

 

 

 

 

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武石直人
naoto
㈱インナーコーリング取締役 武石直人 (エン・ジャパン株式会社 新規事業開発室 室長) 慶應義塾大学法学部法律学科卒。 ペンシルヴァニア大学経営学修士課程(MBA)修了。 ベンチャー企業数社のCFO等を経てエン・ジャパン株式会社に入社。 洋の東西を問わずその思想からの学びを通じて、マインドフルで上質な人生の生き方を考察していきたい・・・という想いのもと、連載をしていきたいと考えております。
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